コンピュータ




100年続いた教育現場を変化させるコンピュータ

■100年続いた教育現場を変化させるコンピュータ

〜黒板と机があればできる教育からの脱皮〜

■100年前の教員が、いまでも授業ができる理由

 欧州市場で約15%と教育分野でトップシェアを誇り、米国でも23%とデルに次いで2位のシェアを持つAppleは、'86年から「Apple Classrooms of Tomorrow」をキーワードに、教育分野におけるIT利用提案にいち早く取り組んできた。最初は、5つの小中高校に一教室分のMacを導入。教師、生徒が自由に使える環境を提供するところからスタートしたこの取り組みも、それをきっかけに、教育分野における効果が徐々に認識され、教育分野でのMac導入シェアは、一般市場以上に高いものになっている。

 そのAppleの社内で、冗談混じりにこんな会話が交わされているという。

 「いまから100年前の医者と教師が、タイムマシンに乗って現在にやってきたら、医者は医者の仕事ができないだろう。だが、教師はすぐに教師の仕事ができるはずだ」

 これは、医者を卑下しているものではない。むしろ、このジョークの裏には、教育現場に対する痛烈な皮肉が込められている。

 医療技術は、この100年の間に急激に進化した。医療分野へのITの導入も急速に浸透している。その進化ゆえに、100年前の医師は、現在の医療技術を駆使できないというわけだ。そして、100年前の教師が、いまでも教師の仕事ができるというのは、裏を返せば、教育の現場が100年前とまったく変わらないことの証だといっていい。

 黒板を用い、そこに向かって生徒、児童が学習をするというスタイルは、100年経っても、いまだに変わらないスタイルだといえよう。

 だが、100年ぶりともいえる改革が、いま訪れようとしている。それは、まさにITによる革命ともいえるものだ。



■「Instruction(指導)」と「Construction(創造)」

 「これまでの教育現場は、教員が中心であり、教師が教えて、生徒は聞くあるいは学ぶというスタイル。また、学習方法も事実の記憶が中心となり、そこにおけるITの活用方法もドリル形式の演習となる。しかし、いまでは、生徒が中心となり、教師と生徒が一緒に考える、一緒に学ぶというスタイルに変化している。場合によっては、教師が生徒に教わるといった部分もある。また、学習方法は探索や発見が多くなり、ITの活用方法も伝達、共同作業、情報の探索、表現といった部分で活用されるようになっている」

 つまり、子供たちの意識の変化が、教育現場を変化させ、それが、100年以上続いた教室の形を変えようとしているともいえるのだ。